引越し先の小さな町で移住定住委員会メンバーになってみた

おはようございます。
まき(@makio_nakatsu)です。

今年、岐阜県中津川市からお隣の恵那市笠置町というところへ引っ越しました。
引っ越し先である笠置町はいわゆる(限界)集落なのですが、そこに「移住定住委員会」という集まりがあり、ひょんなことから参加しています。

先日2度目の参加をしてきて面白かったのでどんなことをしているのかご紹介したいと思います。

また「ぼくのかんがえたさいきょうのいじゅうせいさく」的な提言も書いてみたので、少し長いですが、移住や地方創生などに興味のある人は読んでいただけると嬉しいです。(ぜひ感想をツイートしてね)

参考 笠置町で暮らす。-岐阜県恵那市笠置町移住定住委員会-笠置町で暮らす。 参考 笠置町で暮らす。-岐阜県恵那市笠置町移住定住委員会-facebook

※色々書いているけど、わたしは移住定住委員会での活動に概ね肯定的な立場です※

移住定住委員会がやっていること

「移住定住委員会」の目的は、「他の地域(主に東京などの都会)から笠置町へ移住を促進し、将来に渡って集落が存続するための人口を維持すること」(主観です)。
具体的には、主に市が運営している「空き家バンク」に空き家情報(売却や賃貸ができる物件)をINPUTして、移住希望者とのマッチング率を高める活動をしています
また、移住や空き家改修関連で使える補助金の存在を周知するためのチラシづくりや、町の魅力を発信するためのサイトやパンフレットのようなものを作ったりしていました。

空き家バンク制度とは
恵那市の空き家や土地の情報をまとめ、恵那市に移住を希望する方に物件情報としてご紹介します。
空き家バンクに登録された物件を契約すると、改修費の補助も受けられる特典もついています。定期的にチェックして理想の物件を見つけてみてはいかがでしょう。
空き家バンク | 恵那くらしビジネスサポートセンター(https://enalifebizsupport.jp/akiyabank/)

地道ィ〜〜、ていうか、それって市役所の仕事では?
というのがわたしの最初の感想です。

市役所も当然移住促進などの対策をしているのでしょうけど、実際はマンパワーや予算が足りずに、とても個別の町の面倒までは見てくれません。だから、「移住定住委員会」のような地元有志の集まりが必要になってくるのでしょうね。

で、主たる活動である「空き家バンクへの登録」については、結構難航しているみたいです。
体感では、わたしの住む地区にも空き家はたくさんあるようにみえるので、「売却や賃貸を希望する物件」がたくさんあるのかと思いきや、実は数件しかないとのことでした。
要するに、”住んではいないけど、売る気はない”物件ならたくさんあるというのが現状のようです。

え、なんで?
もう住むつもりがないなら、家を持っていてもしょうがないから賃貸にするなり売ればいいじゃん、お金になるし。と、わたしなら思うのですが、そこはいろいろな事情があるみたい。
例えば、

  • 抵当権(家や土地を担保にした借金)がついていて、空き家バンクに登録できない
  • とても貸したり売れるほどいい状態の物件ではない(屋根に穴が空いたり、朽ち始めている)
  • 家族・兄弟間で意見が割れており結論が出ていない(都会に出た兄弟が売却に反対しているとか)
  • 家主がそもそも「移住者=よそ者」が嫌いだから売りたくない など。

抵当権の話は衝撃だったのですが、明治時代に借りた数百円の借金が残っているせいで抵当権が外せないなどのケースがあるんだとか。
貸した側の組織がすでに存在していなくても、弁護士に依頼する手続き費用だけで数万円必要だったり、手間や時間がかかるなどの理由から抵当権を外すことを断念するパターンが多いようです。
あとの理由は、まあだいたい分かる…。あるあるですね。

「空き家バンク」へ空き家(売却や賃貸を希望する物件)を登録するというタスクは、きっと最初の一歩目くらいだと思っているのですが、その一歩目でも相当苦労されているんだなと思いました。

移住定住委員会のミッションはなにか

ミッションと現状の整理

空き家バンクへの空き家情報登録タスクに注力している「移住定住委員会」ですが、ミッションのおさらいをしましょう。
それは、「他の地域(主に東京などの都会)から笠置町へ移住を促進し、将来に渡って集落が存続するための人口を維持すること」です。
主観です。委員会メンバーがどのように捉えているのかは正直わかりませんが、話を聞いている限りではこのような共通の目的意識のもとに集まっているとわたしは感じています。

日本全体が人口減少時代に突入しているこの状況下で、笠置町に人を集めて集落を存続させようというプロジェクトを行っているのです。
近隣自治体に限らず全国の自治体でも当然移住促進活動をしているわけですから、スーパーレッドオーシャンの超ハードなミッションということになります。

そして、現状では最初の一歩目(空き家登録)で苦労している現状があり、前途多難とはまさにこのことって感じの状況です。

空き家バンク活用の先に望む未来はあるのか

「空き家登録」自体を否定するつもりはないし、移住希望者への受け皿の用意は必要と思います。しかし、現在の活動が本当に望む未来への布石となるのでしょうか。

例えば高齢者ばかりが移住してきたらどうするのか?
若い住人への負担が増えるだけで、逆効果になることもあるのかなと思います。

流出を食い止めることに注力しなくてもいいのか?
今住んでいる中学生や高校生がこのまま笠置に住み続けると思っているのでしょうか。

「バケツの穴理論」という理論があるのですが、まずは流出を止めることが先決ではないでしょうか。

参考 「穴あきバケツの成長モデル」の話|深津貴之(fladdict)note

優先すべきは、笠置町の未来像を共有すること

課題山積でリソースも限られている中でまず行わなければならないことは、「笠置町の未来像」を共有するところかなと思います。
委員会メンバーで話し合う際には、いろんな提案が次から次へと出てくるのですが、ベクトルがバラバラなので委員会メンバーの提案どおりに施策を打ってもなかなか効果は出ないでしょう。
まずは「笠置町の未来」をどういったものにしていくのかを決めておいて、最優先事項から順にリソースを割いていくべきです。

【提案】今足りないものは「合宿所」と「飲み屋」

引っ越してきてわずか半年のわたしが偉そうに何を言っているのやらという感じですが、笠置町でどのような施策が有効なのか考えてみました。
合宿所?飲み屋?唐突すぎて意味がわからないと思うので順に説明します。

バケツの穴を埋めて離脱率を下げる

まずは「バケツの穴理論」に忠実に、既存ユーザーの離脱を防ぐ(住民の転出を防ぐまたはUターンしてもらう)ことが先決。なぜ住民が転出するのか、またUターンしないのかの仮説を立てて、対策を立てます。転出理由はだいたい下の4点くらいはすぐに思いつきます。

  • 子供の教育、習い事に不向き
  • 高校から先の進学先がない
  • 就職先がない
  • 娯楽や買い物エリアがない(不便)

これらの対策を打つことのほうが「空き家登録」よりも先と思います。
まずは顧客(=笠置町住民)の満足度を上げて離脱率を下げましょう。

わたしの考える具体的な対策としては「合宿所」と「飲み屋」です。

合宿のできるゲストハウスと飲み屋が必要

合宿所(ゲストハウス)と飲み屋が必要な理由は、先に上げた課題を解決するためであり、また、外部のお客さんと地元民にとってシナジー効果が高いからです。

現在、笠置町にある資源は、「日本有数のクライミングエリア」と、「カヌーなどのアクティビティのできる木曽川・笠置峡」といったところでしょうか。

クライミングエリアについてはクライマーの中では実は有名で、日本有数のエリアですし、カヌーについてはポーランドのナショナルチームが東京オリンピックのための事前合宿地に決めています。

笠置町は、クライマーやカヌー競技者の合宿地としては全国でみても最適な立地であることから、全国の高校・大学生選手の合宿地として誘致することは十分に可能です。(バレーボール専用コートとして話題になったオガールアリーナの運営をイメージしています)

参考 笠置山山と溪谷社のクライミング・ボルダリング総合サイト 参考 東京五輪のキャンプ地 岐阜県恵那市がポーランドのカヌーチームを誘致中京テレビNEWS

しかし、合宿をするための施設が圧倒的に少ないというか、ないのです。
宿泊所は恵那の中心市街地にあるホテルを使うことになるでしょう。
クライミングもカヌーも自然の中で行う競技なので、宿泊拠点が町の外だと笠置町にはまったくお金が落ちません(入山料くらい?)。

選手にとっても町にとっても、笠置に宿泊し、競技に専念できる環境を整備することが必要になります。とはいえ、ホテルの建設はできないので、合宿に必要な設備を持ったゲストハウスを運営することが近道。また、笠置は夜出歩く遊び場がないので、飲み屋も必要になります。

合宿のできるゲストハウスと飲み屋を作ると、先に述べた課題をどのように解決することができるのでしょうか。

まず、スポーツのシーズン中はそのまま合宿所(ゲストハウス)として全国の学生などに利用いただきます。シーズンオフは、「スパルタキャンプ」などの合宿型学習教室を誘致します。
スパルタキャンプはプログラミング教室ですが、ドローン運転教室など様々な教室を合宿型で笠置に滞在しながら学ぶ機会を作れると面白いと思います。

滞在期間中は笠置にお金が落ちるし、合宿の最後には、受講生が講師となって地元の子どもたちにプチ講座を開いていただき、合宿で学んだことをアウトプットする機会を作ってもらえたら、地元への還元ができます。
プログラミングやドローンといった「都会でしか学ぶことができない機会」を笠置に住みながら得ることできたら、子供への教育に熱心な親世代には刺さります。
このような仕組みを回すことによって、自然と笠置にお金が落ちて、最先端の学習機会を得るサイクルができていき、笠置に住むことのインセンティブが生まれていきます。

飲み屋が必要な理由は、合宿施設があるだけではなかなかつらいので、遊ぶ場所がほしいから。
合宿組の人たちと地元民との交流の場にもなるだろうし、ひとつの拠点になるとおもしろいと思います。
飲み屋だけでなく、合宿施策きっかけで、いろんな施設が生まれてくるといいんですけどね。

時代にあった新たな魅力を引き出す

ゲストハウスと飲み屋以外の施策として考えられるのは、「特区」政策です。
先に上げた「ドローン」それに加え「自動運転」などが近い将来の大きな産業になりえます。
現在はまさにいろいろな実験を繰り返すフェーズなので、自由に研究のできる場所が必要です。
そこで、笠置町が特区を申請して、煩雑な申請等を不要にし、自由に研究のできる拠点となれば起業家やエンジニアの移住促進につながると思います。

まとめ

ということで長々と書いてしまいましたが、まとめると…

  • 笠置町に「合宿所になるゲストハウス」と「飲み屋」を作る
  • クライミング&カヌー競技者を全国から誘致する
  • シーズンオフを利用して合宿型の学習系教室を誘致、地域の子供達に最先端の学習機会を作る
  • 上記サイクルを回しつつ、特区申請をして起業家や若手エンジニアに移住してもらう

「ぼくのかんがえたさいきょうのいじゅうせいさく」はこんな感じ。(とても移住定住委員会で実行するような内容ではありませんが…)
「シェアキッチンとシェアフードトラックの貸し出し事業」みたいなこともできたら面白いなーとか、いろんなアイディアだけはあるのですが、なかなか一人で実現させることはできないので、興味のある方はTwitterかお問い合わせフォームからお声がけいただけるとうれしいです。

また、この記事内容にご賛同いただける方や協力してもいいよーっていう方、改善案をお持ちの方はぜひお気軽に話しかけてください。
長い文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。

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